2015年4月9日木曜日

栴檀は二葉より芳し

 うちの子どもらが通う新発田市立二葉小学校(新潟県)は、51年前に中田小学校と島塚小学校という2つの伝統校の統合でできた。当時は反対の声が大きくて、そうとうな難産だったとか。
統合したときに、「栴檀(せんだん)は二葉(ふたば)より芳(かんば)し」ということわざから校名をとったということだ。「栴檀は二葉の頃から香気を放つように、大成する人は幼い頃からすぐれている」という意味。
 念のため…出典は平家物語の「栴檀は二葉より芳しとこそ見えたれ」という部分。ここでいっている「栴檀」はインド原産の高級香木「白檀」のこと。現代の日本にある「栴檀」は古来「あふち(別名 千団子)」とよばれる樹木で、江戸時代のあるお寺が洒落でわざと置き換えた名残だそうだ。しかも「白檀」は二葉のころから芳しいものではないという。古いインドのお経に「栴檀は二葉にならぬうちは香りがないが、成長して大きな木になると香気が出るのだ」とあるのが、オーバーに伝わって平家物語の作者が本気にしたため、こういう文言になったんだとか。([目指せ!人事の雑学王]より)

 平成26年度東京大学教養学部学位記伝達式の式辞が話題になったが、とてもいいのでちょっとメモ。

“皆さんが毎日触れている情報、特にネットに流れている雑多な情報は、大半がこの種のものであると思った方がいいということです。そうした情報の発信者たちも、別に悪意をもって虚偽を流しているわけではなく、ただ無意識のうちに伝言ゲームを反復しているだけなのだと思いますが、善意のコピペや無自覚なリツイートは時として、悪意の虚偽よりも人を迷わせます。そしてあやふやな情報がいったん真実の衣を着せられて世間に流布してしまうと、もはや誰も直接資料にあたって真偽のほどを確かめようとはしなくなります。
情報が何重にも媒介されていくにつれて、最初の事実からは加速度的に遠ざかっていき、誰もがそれを鵜呑みにしてしまう。そしてその結果、本来作動しなければならないはずの批判精神が、知らず知らずのうちに機能不全に陥ってしまう。ネットの普及につれて、こうした事態が昨今ますます顕著になっているというのが、私の偽らざる実感です。
しかし、こうした悪弊は断ち切らなければなりません。あらゆることを疑い、あらゆる情報の真偽を自分の目で確認してみること、必ず一次情報に立ち返って自分の頭と足で検証してみること、この健全な批判精神こそが、文系・理系を問わず、「教養学部」という同じ一つの名前の学部を卒業する皆さんに共通して求められる「教養」というものの本質なのだと、私は思います。…東京大学教養学部長 石井洋二郎

 
 これは「栴檀」の件にも当てはまる。どうにも鵜呑みにしてしまいがちだ。注意深く肝に銘じていきたいところだが…なかなかなかなか。
 
 いずれにせよ、二葉小学校…次代を担う子どもたちへの願いがこもった、いい校名だと思う。

日本で一般的に呼称されている「栴檀」
インド原産「白檀」



新潟県新発田市立二葉小学校

2015年4月8日水曜日

街角こんぱす4月号にコラム

地元のフリーマガジン「街角こんぱす」4月号p.26にコラム
テーマは「玄関先の花粉対策」