2014年6月13日金曜日

食中毒の嘔吐物の処理


食中毒の治療や予防についてはお医者さんにお任せするとして、
嘔吐物などへの対応がなかなか難しいところがある。

冬場に流行るノロウイルスなどウイルス性のものと、
夏場に流行るO-157など細菌性のものとでは対応が若干異なるところ。
ウィルス性のものはアルコール消毒が効かない。

消毒というと人体に有害な物質を無害化すること。
殺菌とか除菌とか滅菌なんて似たような言葉があるが、
たとえば人体について殺菌とか滅菌なんてしたら、薬剤がきつすぎてまずいことになる。
病原性をなくすという意味合いでいうことが多い。

ノロウイルスの場合、消毒に次亜塩素酸ナトリウムを用いる。
厚生労働省によれば

 ノロウイルスが感染・増殖する部位は小腸と考えられています。したがって、嘔吐症状が強いときには、小腸の内容物とともにウイルスが逆流して、吐ぶつとともに排泄されます。このため、ふん便と同様に吐ぶつ中にも大量のウイルスが存在し感染源となりうるので、その処理には十分注意する必要があります。
 12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて、感染が起きた事例も知られており、時間が経っても、患者の吐ぶつ、ふん便やそれらにより汚染された床や手袋などには、感染力のあるウイルスが残っている可能性があります。このため、これら感染源となるものは必ず処理をしましょう。
 床等に飛び散った患者の吐ぶつやふん便を処理するときには、使い捨てのガウン(エプロン)、マスクと手袋を着用し汚物中のウイルスが飛び散らないように、ふん便、吐ぶつをペーパータオル等で静かに拭き取ります。拭き取った後は、次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約200ppm)で浸すように床を拭き取り、その後水拭きをします。おむつ等は、速やかに閉じてふん便等を包み込みます。
 おむつや拭き取りに使用したペーパータオル等は、ビニール袋に密閉して廃棄します。(この際、ビニール袋に廃棄物が充分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約1,000ppm)を入れることが望ましい。)
 また、ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、吐ぶつやふん便は乾燥しないうちに床等に残らないよう速やかに処理し、処理した後はウイルスが屋外に出て行くよう空気の流れに注意しながら十分に喚気を行うことが感染防止に重要です。
 11月頃から2月の間に、乳幼児や高齢者の間でノロウイルスによる急性胃腸炎が流行します。この時期の乳幼児や高齢者の下痢便および吐ぶつには、ノロウイルスが大量に含まれていることがありますので、おむつ等の取扱いには十分注意しましょう。
※塩素系の漂白剤(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
という対応が書いてある。
市販されている次亜塩素酸ナトリウムといえば、塩素系漂白剤…ハイターとかキッチンハイターとか業務用のピューラックス。これらは塩素濃度6%の製品です。ちなみに、キッチン泡ハイターはもともと塩素濃度が0.6%、強力カビハイターは0.5%なので、そのまま使ってもOKだそう。

■塩素濃度200ppmの消毒液(ハイターの例)


500mlのペットボトルに、ペットボトルのキャップ半分弱(2cc)を入れ、水を満タンに注いでキャップをしよく振ってできあがり。ちなみに、ペットボトルのキャップは概ね5cc。

■塩素濃度1,000ppmの消毒液(ハイターの例)

500mlのペットボトルに、ペットボトルのキャップ2杯(10cc)を入れ、水を満タンに注いでキャップをしよく振ってできあがり。

※必ずビニールやゴムの手袋をして、プラスチック製のじょうごを使う。できれば防護メガネも。
※金属は腐食の原因になる恐れがあるので注意。
ppmparts per million の略。1ppm = 0.0001%
※換気を十分に行う。
※手についたら、すぐに大量の流水で洗う。
※絶対にトイレ用洗剤など酸性の洗剤と混ぜない。
 
ところで、近年では消毒に微酸性電解水というものが注目されている。
東京ディズニーランドをはじめ、大手チェーンや森永乳業などで採用されはじめたそうだ。
また、カキなどの貝毒除去対策に日本発のウルトラファインバブルという技術が使われ、経済産業省も日本の新たな基幹産業に育てようと狙っている。
食中毒予防の意味でも、新しい技術に注目していきたい。

フリーマガジン「街角こんぱす」6月号にコラム

新潟県新発田市のフリーマガジン「街角こんぱす」6月号にコラムを寄稿。

テーマは「梅雨どきの洗濯」。